サンアントニオ(San Antonio)のダウンタウン中心部、メイン・プラザ(Main Plaza)にそびえるサン・フェルナンド大聖堂(San Fernando Cathedral)は、町の歴史と信仰を象徴するランドマークです。18世紀に建てられたこの大聖堂は、スペイン植民地時代から続くテキサス最古の教会であり、現在も現役の教会として礼拝が行われています。サンアントニオ最古の建造物のひとつであり、アメリカ合衆国でも最も古い大聖堂のひとつとして国家歴史登録財(National Register of Historic Places)に指定されています。
その起源は1731年にさかのぼります。スペイン領カナリア諸島からの移民たちがこの地に到着し、新たな開拓地「サン・フェルナンド・デ・ベハール(San Fernando de Béxar)」を築いた際、信仰の中心として建てられたのがこの教会でした。カトリック教会は当時、スペインやメキシコの支配下で正式に認められた宗教であったため、時の政府の庇護を受けながら発展していきます。
信仰の拠りどころであると同時に、この大聖堂はテキサスの歴史の重要な舞台にもなりました。テキサス革命の際にはメキシコ軍の大砲が設置され、テキサス側の勝利の後には勝利の旗が掲げられたと伝えられています。洪水や火災、戦禍に見舞われながらも、その都度修復・改築が行われ、19世紀中頃にはゴシック・リバイバル様式のファサードが追加され、現在の姿になりました。1874年にサンアントニオ教区が設立された際には、大聖堂に正式指定されています。

サン・フェルナンド大聖堂の内部は一般見学が可能です。白いアーチが連なる静謐な空間に身を置くと、長い歴史と信仰の重みを感じます。特に正面祭壇のステンドグラスは美しく、差し込む光が荘厳な雰囲気を作り出しています。定期的に行われているミサに参加することも可能ですが、見学のみを目的とする場合は、その時間を避けて訪れるのが望ましいでしょう。
日が暮れると、この歴史的な大聖堂のファサードが巨大なスクリーンへと変わります。世界的映像アーティスト、ザビエル・ドゥ・リシュモン(Xavier de Richemont)によって制作された「San Antonio | The Saga」は、サンアントニオの300年以上にわたる歴史を約24分間に凝縮し、光と音で描く壮大なプロジェクションマッピングです。先住民の時代からスペイン植民、メキシコ支配、アメリカ編入、そして現代の多文化都市としての姿まで――その物語が色鮮やかな映像と音楽によって建物全体に投影されます。教会の建築そのものが映像の一部となり、迫力と感動を体験できるライトショーです。上映は無料で、週に数回、午後9時から開催されています(天候などにより変更の場合あり)。上映スケジュールは公式サイトで事前に確認しておくのがおすすめです。

サン・フェルナンド大聖堂は、サンアントニオ・リバーウォーク(River Walk)やアラモ(The Alamo)からも徒歩圏内にあり、観光ルートに組み込みやすい立地です。ダウンタウン滞在中であれば徒歩でのアクセスが便利ですが、クルマで訪れる場合は、メインプラザ周辺やカテドラル・パーキング(Cathedral Parking)などの有料駐車場を利用します。夜の「The Saga」を観賞する際は、上映時間に合わせて早めに到着し、広場の中央や噴水近くなど、建物全体を見渡せる場所を確保するとよいでしょう。
San Fernando Cathedral
Address: 115 Main Plaza, San Antonio, TX
Web Site: San Fernando Cathedral
photo:© Visit San Antonio ©plusroadtrip


 
  
  
  
  
  
  
 