オクラホマ州からニューメキシコ州までを結ぶ約286kmのルート66（Route 66）の区間。その中で最大の都市アマリロ（Amarillo）の南東に広がるパロ・デュロ・キャニオン州立公園（Palo Duro Canyon State Park）は、「テキサスのグランドキャニオン」と呼ばれる壮大な景観を誇る自然公園です。全長約190キロメートル、幅約10キロメートル、深さ最大約250メートルに達する巨大な渓谷は、グランドキャニオンに次ぐ規模の渓谷とされ、赤やオレンジ色の岩肌が織りなす雄大な風景が訪れる人々を魅了します。アマリロのダウンタウンから車で30分ほどとアクセスも良く、ロードトリップの立ち寄り先に最適です。
このキャニオンは、数百万年にわたる侵食作用によって形成されました。赤土の地層が露わになった断崖や奇岩は、地球の歴史を刻んだ自然の記録です。かつてはカイオワ族やコマンチ族が暮らし、1874年の「パロ・デュロ峡谷の戦い（Battle of Palo Duro Canyon）」の舞台にもなりました。訪れる人は美しい風景とともに、歴史的な背景をも感じ取ることができます。
公園を代表する景観が「Lighthouse Rock（ライトハウス・ロック）」と呼ばれる岩塔です。シンボル的存在であるこの岩へ向かう「Lighthouse Trail」は往復約9km、2〜3時間で歩ける人気のトレイルです。赤い砂岩に囲まれた道を進むと、自然が造り出した壮大な造形美に出会えます。
園内には30本以上のハイキングトレイルが整備されており、初心者から上級者まで楽しめます。マウンテンバイクや乗馬コースも用意され、アウトドア派には魅力的な環境です。ロードランナーやシカ、七面鳥などの野生動物にも出会え、春にはワイルドフラワー、秋には夕陽に染まる赤土の景観が訪問者を迎えます。
そして、夏の夜には、野外劇「Texas Outdoor Musical」が渓谷内の野外劇場で上演されます。州の歴史や文化を題材にした迫力あるショーは、星空の下で観ることで一層特別な体験となります。
園内は設備面も充実しており、整備された駐車場やキャンプ場、RVパーク、テントサイト、キャビンが点在しています。宿泊すれば、夜空に広がる満天の星や朝焼けに照らされる渓谷を堪能できるのも大きな魅力です。滞在する際は、気温の寒暖差や園内ルールに留意し、十分な準備をして訪れると安心です。
アクセスはアマリロ市内から州間高速I-27を南下し、州道217号を経由して入口へ向かいます。日帰りでも楽しめますが、夏は気温が40度近くまで上がるため、ハイキングは朝の涼しい時間に行うのがおすすめです。水分補給や日差し対策を忘れずに準備しましょう。
ルート66を走る旅の途中でも、パロ・デュロ・キャニオンは忘れがたい立ち寄り先です。壮大な自然と歴史の息吹、そして多彩なアクティビティがそろったこの公園は、アマリロ観光をさらに豊かにしてくれるでしょう。大地のスケールを体感できる絶景を、ぜひその目で確かめてみてください。
Palo Duro Canyon State Park
Address: 11450 Park Road 5, Canyon, TX
Web Site: Palo Duro Canyon State Park
photo: ©Travel Texas ©Brand USA
