ニューブラウンフェルズ(New Braunfels)に位置するグルーネ(Gruene)は、19世紀から続く歴史と、音楽・ショッピング・ワイナリーが楽しめる小さな観光地です。1日でゆっくりと散策できる15エーカーのこの町は、国定歴史地区(National Register of Historic Places)にも指定されており、アメリカ南部らしい温かさと風情が訪れる人々を魅了しています。
グルーネの歴史は、1845年にドイツ系移民のエルンスト・グルーネ(Ernst Gruene)とその家族がこの地に農場を開いたことに始まります。1870年代には綿花の栽培が盛んになり、町は農業を中心に発展。やがて製粉所や倉庫、商店、酒場などが建ち並び、小規模ながらも活気あるコミュニティが形成されました。20世紀初頭には綿花産業の衰退に伴い、町全体が一時的に衰退しましたが、1970年代に入ると歴史的建造物の保存運動と地域再開発の取り組みが始まりました。その結果、グルーネは歴史ある町並みと音楽文化を融合させたユニークな観光地として見事に再生され、今ではテキサスを代表する小さな観光スポットのひとつとして知られるようになりました。



グルーネの象徴ともいえるのが、「グルーネ・ホール(Gruene Hall)」です。1878年に建てられたテキサス最古のダンスホールで、現在も毎日のようにライブ演奏が行われています。ここではウィリー・ネルソン、ジョージ・ストレイト、ロレッタ・リンなど、多くの著名なミュージシャンが若き日にステージに立ったことでも知られています。古い木造の建物に響く生演奏は、まさに「本物のテキサス」を体感できる特別な時間を提供してくれます。ライブのスケジュールは公式サイトで確認できます。
町の中心部には、個性的なショップやカフェ、アンティークストア、地元産のワインを楽しめるワイナリーが点在しています。歴史的な建物を活かした石造りや木造の外観が並び、通りを歩くだけでも楽しい気分になります。なかでも「グルーネ・ゼネラル・ストア(Gruene General Store)」は観光客に人気のスポットで、昔ながらのお菓子やお土産が並び、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。





アウトドア派には、グアダルーペ川(Guadalupe River)でのチュービングやカヤック体験もおすすめです。特に夏場は家族連れや若者でにぎわい、グルーネ全体が明るく活気にあふれます。川沿いの自然に囲まれた景観は美しく、観光とレジャーの両方を楽しめるのもこの町の大きな魅力です。
グルーネへは、オースティン(Austin)やサンアントニオ(San Antonio)からクルマで約1時間程度。州間高速道路I-35からも近く、ヒル・カントリーをドライブで巡る際の立ち寄り先としても非常に便利です。町には無料または低料金の公共駐車場が複数用意されており、週末やイベント開催時でも比較的スムーズに駐車が可能です。ただし、フェスティバルシーズンや夏の繁忙期は混雑が予想されるため、早めの来訪がおすすめです。
グルーネは、一日で回れるほどの小さな町ながら、そこにはテキサスの歴史・文化・自然・音楽が凝縮されています。古き良きアメリカ南部の温もりと、今も息づくローカルカルチャーを肌で感じることができるこの町へ、ヒル・カントリーを巡る旅の途中に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
Gruene
Address: 1281 Gruene Rd, New Braunfels, TX
Web Site: Gruene
photo: ©Travel Texas © KURUMAG