ディープ・エラム(Deep Ellum)は、ダラス(Dallas)のダウンタウン東側に位置する歴史ある地区で、ライブ音楽、ストリートアート、個性的なレストランやショップが集まるカルチャーの中心地です。アフリカ系アメリカ人やヨーロッパ系移民によって築かれたこの街は、多様な文化が融合した独自の雰囲気を今も色濃く残しています。
このエリアは、1872年にヒューストン・アンド・テキサス・セントラル鉄道(H&TC)、翌1873年にテキサス・アンド・パシフィック鉄道(T&P)の路線が交差する地点として発展を始めました。鉄道の整備とともに人々が集まり、20世紀初頭にはブルースやジャズの拠点として知られるようになります。2020年にテキサス州の文化地区(Cultural District)に指定され、2023年には誕生150周年を記念して、国家歴史登録財(National Register of Historic Places)にも登録されました。
音楽の街として知られるディープ・エラムでは、ブルースやジャズに始まり、ロック、ヒップホップなど、さまざまなジャンルの音楽が発展してきました。街の中にはThe Bomb Factory、Trees、Club Dadaなどの有名なライブハウスが点在し、地元アーティストから世界的なバンドまでがステージに立っています。特に週末の夜は、街全体が音楽と人々の熱気に包まれ、大いに賑わいます。
街を歩くと、壁一面に描かれたカラフルな壁画やユニークな彫像など、個性的なストリートアートがいたるところに見られます。中でも12mの高さを誇るステンレス製の彫刻「トラベリングマン(The Traveling Man)」は、ディープ・エラムの象徴的存在です。また、2021年にはオフィスビル「ザ・スタック(The Stack)」の外壁に約790㎡の巨大壁画が完成し、話題となりました。アート好きの方には、Barry Whistler GalleryやKettle Art Gallery(オーナーが地元のアーティストやグラフィティアートを支援)といったギャラリーの訪問もおすすめです。






さらに、カルチャーだけでなく、グルメやショッピングもディープ・エラムの大きな魅力です。行列ができるバーベキューの名店Pecan Lodge、本格的なメキシコ料理を楽しめるRevolver Taco Lounge、アートギャラリー併設のクラフトコーヒー店Mokah Coffee & Teaなどユニークで素晴らしい料理を楽しめるレストランやカフェがあります。また、Main Street Marketでは地元の食材や焼きたてのパン、ワインなども手に入れることができるほか、個性的なアパレルや雑貨の店も点在しており、ヴィンテージやアンティークの掘り出し物探しも楽しめます。
ディープ・エラムは、ダラスのダンタウンからは5分、フォートワース(Fort Worth)からは30分ほどでアクセスできます。周辺にはいくつか有料の公共駐車場がありますが、特に週末の夜は混雑が予想されるため、公共交通機関やUberなどの利用もおすすめです。音楽、アート、食、ショッピングと、多彩な楽しみ方ができるディープ・エラム。ダラスの定番観光地とはひと味違う、感性を刺激する文化派スポットで、昼はアートや街歩きを楽しみ、夜は音楽とグルメで充実したひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
Deep Ellum
Address: 2713 Elm St, Dallas, TX
Web Site: Deep Ellum
photo: ©Travel Texas