サンアントニオ(San Antonio)の南部には、スペイン植民地時代に築かれたミッションを結ぶ歴史の道「サンアントニオ・ミッション・トレイル(San Antonio Mission Trail スペイン名:El Camino De San Antonio Missions)」があります。サンアントニオ川沿いに点在する世界遺産に登録された5つのミッションを巡るこのルートは、約12マイル(約19km)にわたって続いています。川沿いには整備されたトレイル「Mission Reach」が延び、徒歩や自転車、そしてクルマで、自然の風景の中を眺めながら歴史の舞台を訪ねることができます。
18世紀、スペインは北アメリカ南西部の統治を強めるため、フランシスコ会修道士の宣教拠点としてミッションを建設しました。サンアントニオ川の水を利用するため「アセキア」と呼ばれる灌漑水路を築き、農業と共同生活を基盤に、宗教施設と集落が形成されていきました。現在残るミッション群は、当時の建築や生活の痕跡を伝える貴重な歴史遺産であり、その文化的価値から2015年にはユネスコ世界遺産に登録されました。
サンアントニオ市内を南北に結ぶこのルートは、北から南へと巡るのが一般的とされています。
その北の起点として多くの人が訪れるのが、ダウンタウンの中心にあるアラモ(The Alamo)です。テキサスの独立における重要な役割を果たした場所として知られていますが、もともとはスペイン宣教のミッション「ミッション・サンアントニオ・デ・バレロ(Mission San Antonio de Valero)」でした。
その後、サンアントニオ川沿いを南へ進み、サンアントニオ・ミッションズ国立歴史公園(San Antonio Missions National Historical Park)を目指します。
最初に現れるのがミッション・コンセプシオン(Mission Concepción)です。18世紀の姿をほぼそのまま残す石造教会で、アメリカに残るスペイン植民地建築の中でも保存状態の良い例として知られています。

さらに南へ進むと、ミッション群の中で最大規模を誇るミッション・サン・ホセ(Mission San José)に到着します。「ミッションの女王」とも呼ばれるこのミッションは、広い中庭と厚い石壁に囲まれた壮大な構造を持ち、当時のコミュニティの中心として機能していました。


その先には、農地と川の風景に囲まれたミッション・サン・フアン(Mission San Juan)とミッション・エスパーダ(Mission Espada)が続きます。ミッション・エスパーダでは、スペイン時代に築かれた灌漑施設アセキアの一部を見ることができ、川とともに発展したミッション社会の仕組みを理解することができます。


クルマ巡る場合は、アラモへの訪問はダウンタウンの公共駐車場を利用となりますが、その他のミッションは無料の駐車場を利用することができます。
サンアントニオ・ミッション・トレイルの魅力は、単に歴史的建造物を訪ねるだけでなく、ダウンタウンの都市景観から始まり、南へ進むにつれて風景は次第に静かな郊外へと変わっていくその景観を眺めることにあります。川の流れに沿って連なるミッションを巡ることで、スペイン植民地時代の生活圏がどのように形成されていたのかを実感できるでしょう。
スペイン植民地時代の宣教拠点を結ぶ道は、その後カリフォルニアにも広がっています。カリフォルニアでは「El Camino Real(王の道)」として知られるミッションの道が続き、スペインの宣教活動が北へと広がっていった歴史を伝えています。
San Antonio Mission Trail
Web Site: San Antonio Mission Trail
photo: ©Visit San Antonio ©Travel Texas ©plusroadtrip

