サンアントニオ・ミッションズ国立歴史公園(San Antonio Missions National Historical Park)は、18世紀のスペイン植民地時代に建設された4つのミッション(伝道所)からなる歴史公園で、サンアントニオ(San Antonio)という都市の原点を今に伝える場所です。世界的にも高い保存状態を誇るスペイン植民地時代のミッション群で、ダウンタウンにあるアラモ(The Alamo)と、フロレスビル近郊に位置するミッション・エスパーダの敷地外牧場施設「ランチョ・デ・ラス・カブラス(Rancho de las Cabras)」とともに、2015年にユネスコ世界遺産に登録されました。アメリカ国内でも貴重な文化的景観として高く評価されています。
これらのミッションは、単なる宗教施設ではなく、当時のスペインによる植民地政策のもとで、先住民の定住化と社会形成を目的として設けられました。教会を中心に、住居、農地、工房、水路(アセキア)などが整備され、信仰と生活、労働が一体となった共同体が築かれていきます。北米におけるスペイン植民地伝道所の中でも最大級の共同体を形成していたとされ、石造りの建築や灌漑システムからは、過酷な環境の中でも持続可能な暮らしを実現しようとした人々の知恵が読み取れます。


公園内には現在、4つの主要なミッションが点在しています。なかでも規模が大きく「ミッションの女王」とも称されるミッション・サン・ホセ(Mission San José)は、壮麗な石造教会と、ローズ・ウィンドウ(Rose Window)をはじめとした精緻な装飾が特徴です。ミッション・コンセプシオン(Mission Concepción)は、アメリカで最も古い修復されていない石造りの教会として知られ、白壁と当時のフレスコ画が良好な状態で残されています。ミッション・サン・フアン(Mission San Juan Capistrano)では農業を中心とした生活の痕跡が感じられ、ミッション・エスパーダ(Mission Espada)では今も残る灌漑用水路とともに、ミッションが果たしていた実用的な役割が伝えられています。それぞれが異なる役割を担いながら、ひとつの共同体を形づくっていた点が、この公園最大の見どころです。


なお、アラモ(The Alamo)も、もともとはこのミッション群のひとつであるミッション・サン・アントニオ・デ・バレロとして誕生しました。ミッションズ国立歴史公園を訪れることで、「戦いの象徴」として語られることの多いアラモだけでなく、都市形成の文脈の中にあった本来の姿が見えてくるでしょう。

サンアントニオ・ミッションズ国立歴史公園は、サンアントニオ市南部、サンアントニオ川沿いに連なるように配置されています。ダウンタウンやアラモ周辺からはクルマでおよそ15〜20分。各ミッションには無料の駐車場が整備されており、入園料もかかりません。毎日9時から17時まで開園しており、感謝祭、クリスマス、元旦(大晦日を除く)は休園となります。
1か所のみの見学であれば30〜45分ほど、4か所すべてを巡る場合は半日から1日を目安にすると余裕を持って楽しめます。なお、これらのミッション群は現在も現役の教区として使用されているため、見学の際は服装やマナーへの十分な配慮が求められます。
San Antonio Missions National Historical Park
Address: 6701 San Jose Drive San Antonio, TX (Mission San José)
Web Site: San Antonio Missions National Historical Park
photo:© Visit San Antonio ©Travel Texas

